南堂源八、お登美夫婦は、加津代を伴って初の国入りをする三州西尾の若殿・忠明の旅立ちを見送った。その帰り道、お登美の知り合いで海産物問屋を商う北海屋の主人・海右衛門と偶然出会い、これも縁と源八は北海屋から相談を受ける。その内容は、さらった娘と引き替えに、一万両もらい受けるという脅迫だった! 犯人はいったい誰なのか!? 闇に響く、先代の海右衛門と名乗る男の不気味な声。女好きな海右衛門の過去が、事件の謎を深めていく──。
奸策にかかり江戸を追われ、勤王の志士として舞い戻った生方幹之進が、愛と真実を知る珠玉の中編「柳橋お仙」を併収。
国民的人気作家山手樹一郎による超痛快、時代小説!!